歯周病は100以上の全身疾患と関係していると言われています。
原因は菌血症と慢性炎症。
COVID-19、コロナウイルスでよく言われます炎症性サイトカインストームによって全身に運ばれ炎症を悪化させます。
心臓病、脳血管障害、糖尿病、慢性腎臓病、アルツハイマーなどに関わってきます。
歯周病の病因論も1930年頃には歯石、1960年頃にはプラークの量、1975年頃には歯周病原性菌と言われてきました。
ここ最近になって歯周病発症の切っ掛けはお口の中のバイオフィルムが低病原性から高病原性になる細菌の変化(Microbial shift)によるものと言われるようになりました。
バイオフィルムは台所やお風呂場の排水溝などのヌルヌルしたような膜のことですが、健康なSymbiosis(均衡)がMicrobial shiftによってdysbiosis(均衡崩壊)になる。いわゆる善玉が減って、悪玉が増えることと移り変わりました。
そして一旦、歯周病菌に感染してしまいますと今までは歯周ポケットの中だけに細菌は存在するものと思われていましたが、実は細胞や組織の中で生き続けていますの歯周病は駆逐できないのです。
さぁ、私たちはどうしたらいいのでしょうか。
まず皆様の毎日のセルフケアによって菌を増やさない努力をすること。
そしてクリニックのプロケアを欠かさないことです。
そうすることによってSymbiosisを保つことができます。
歯周病菌は血液(赤血球ヘモグロビンの鉄分)によってケタ外れに増殖します。衛生士は手用器具(スケーラー)によって歯周ポケットからの出血を止めることを目標としています。
やみくもにガリガリ歯石を取るのではなく、当クリニックではこのことによって歯周組織の潰瘍面が閉鎖しプラーク組織叢が健康状態に戻り、歯周組織を元に戻す、という事を理解した上で行っております。
悪化している場合は、私たちドクターが歯茎を切開し歯石や汚れたセメント質を除去するフラップ手術を行います。
このように日々、歯周病菌を増やさないことが大切になってきます。
セルフケアで欠かせないポイントが1つ。
細菌の栄養となるものは砂糖(ショ糖)だけじゃないんです。
ブドウ糖、果糖、調理デンプン、このような発酵性糖質もマイクロバイアルシフトが起こりますので、ご飯など食べたらすぐ磨いて下さいね。
エナメル質が酸で溶けるため、食べたら30分おいてから磨くという説もありましたが、また最近ではすぐ磨く!!に戻ってきているようです。