インプラントとは
インプラントとは、失った歯の代わりに入れる人工の歯のことをいいます。まず外科手術を行って顎の骨に人工歯根を埋め込み、それが骨と結合するのを待ちます。その後、上に天然の歯と見た目の変わらない人工の歯を取りつけます。
天然の歯とインプラントは、構造がとても似ています。天然の歯には、歯冠(歯の部分)と歯根(根の部分)があります。歯根は歯茎の中に隠れていて見えませんが、顎の骨に埋まっています。土台となる顎の骨に固定されているので、健康な歯であれば抜けることはなく、しっかりと噛むことができます。インプラントは、歯の土台となる顎の骨に歯根の役割をする人工歯根を埋め込んで固定させ、そこに人工の歯冠を取りつけるものです。固定されているので義歯のように不安定ではなく、自分の歯のように噛むことができます。また、見た目も天然の歯のように自然できれいに仕上がるので、人前で口元を気にせず食事や会話を楽しむことができます。
徹底的にお口の中の衛生管理を行うことで半永久的に使用することができるので、『第二の永久歯』といわれています。
当院で施術するインプラントの種類について
インプラントの種類は、現在、60種類位あります。日本で許可されたものだけでも、20種類以上が販売されています。その中で、当院はイニセルインプラント、ノーベルバイオインプラント(スウェーデン製)を主体に使用しています。このメーカーを選んだのには訳があります。
- 仕上がりがとても美しいです
- 外的侵傷に耐えられます。
- コンポーネントを製作している企業がしっかりしているので、長期間メンテナンスしていくのにベストです。
- 世界で通用する実績、成果、許可を得ています。
イニセルインプラント
イニセルインプラントは従来のインプラント表面に対し専用のコンディショニング剤で処理することにより本来の超親水性表面を再獲得することができます。イニセル専用カートリッジ「APLIQUIQ」(アプリクイック)で供給され、埋入直前にチェアサイドにてコンディショニング処理を行います。超親水性表面の獲得により埋入早期の段階から骨結合が促進され、埋入されるインプラントサイズや骨の状態により早期荷重(埋入後3週間)も可能となります。また、インプラントデザイン(カラー部のバリエーション)が追加され、骨内への完全埋入(ボーンレベルでの埋入)や、1回法(ティッシュレベル)の対応が可能になり、様々な軟組織の条件に適応できます。
ノーベルバイオインプラント
ノーベルバイオケア社(スイス)が製造するインプラント製品です。ノーベルバイオケア社は、1965年にスウェーデンのブローネマルク博士が発見した、骨に結合する歯科インプラントを世界で始めて製品展開したメーカーです。リプレイスセレクト・テーパードは、天然歯の歯根同様のテーパー形状(先端が細くなる)が付与され初期固定が得やすいため、インプラント埋入時にアバットメントを装着する1回法(ティッシュレベル)の対応が可能になります。
歯を失った後の治療法
歯を失ってしまった場合、次の治療法があります。
審美義歯
歯のない部分を審美義歯で治すものです。取り外しての清掃となります。骨がやせてしまった方は、調整に時間がかかります。
ブリッジ
歯のない部分をブリッジで治すものです。固定性のものですが、歯茎と被せ物の間(ダミー部分)を特殊な糸を使ってお掃除する必要があります。
インプラント
歯のない部分をインプラントで治すものです。インプラントは歯のない部分だけを治し、ほかの歯には負担を掛けません。入れ歯やブリッジで治す時のデメリットを克服するものです。見た目も自然で、天然歯に近い力で噛めるため、比較的硬い物を食べても問題なく噛むことができます。固定されていますが、ご自身の歯以上にしっかりしたお手入れが必要となります。
インプラントは噛む力が違います
天然歯を100%とした場合、インプラントでは約90%の咬合力が得られるので、他の治療法に比べるとよく咬めることがわかります。
このように天然歯を100%とするとインプラントは約90%の咬合力が得られるので、よく咀嚼できるようになります。
インプラント治療の副作用やリスク、デメリット
- インプラント治療は健康保険が効きませんので自費診療となります。
- インプラントは外科手術を伴います。
- 麻酔を行う場合、腫れやむくみを生じる事があります。
- 上部の被せ物や土台が外れたり、欠けたり、緩んだりする事があります。
- インプラント手術後は反応性の出血、腫れ、あざがでる場合がありますが時間経過とともに治ります。
- 喫煙、糖尿病、加齢、清掃不良などに伴いインプラント周囲の骨に炎症が起こり、再治療が必要になる場合があります。
インプラント治療はこのような方に最適です
歯を失ったケースや歯を著しく損傷し、修復不可能な場合に最適な治療です。
- 1本の欠損から全歯欠損まで治療可能です・前歯でも奥歯でも治療可能です
- 周囲の歯を削りたくない場合
- 残った歯が、ブリッジや義歯を負担する力を持っていない場合
- 取り外しの義歯を精神的に受け入れられない場合・嘔吐反射がきつく、義歯を入れることが出来ない場合
- 粘膜が薄く、義歯を維持させる事が出来ない場合
- インプラントは年齢の上限は特にありません
全く歯のない無歯顎の患者様・義歯やブリッジに違和感のある患者様などあらゆる症例にインプラント治療が可能です。ご興味のある方は、お気軽にご相談ください。
当院のインプラント治療の特徴
シンプラントシステム導入CT
撮影したデータを基に、コンピュータソフトによるプランニング・解析(治療計画)を行います。
経験豊富な治療実績
当クリニックではインプラント専門分野を得意とする歯科医師がオペを行います。担当歯科医師は、インプラント治療の向上・学習の為 海外などの学会や勉強会にも参加しており、日々技術と専門知識の研鑽に励んでいます。
インターディシプナリーアプローチ
インターディシプナリーアプローチとは、各専門医が連携し、一口腔単位を多面的・総合的にとらえながら治療のゴールを目指す取り組みです。
今後、日本でもポピュラーになっていくと思われます。このことによって治療計画に無駄がなく、治療期間を短くし、最高の治療結果を提供することが可能になります。
当院では患者様の状況によってインプラント専門分野を得意とする歯科医師が担当いたします。
メインテナンスは、しっかりと責任をもって当スタッフが行うシステムになっておりますので、ご安心ください。
多種多様な無痛治療
患者様に安心して頂けるよう、歯の神経を刺激せず和らいだ気持ちで治療を受けられる・・・可能な限り細い麻酔針を使用するなど、手術時の痛みを除去する治療をこころがけています。
機器を使用した術前・術中の管理
止血効果に優れたレーザー機器、高解像度のデジタルレントゲン等を使用し、術前・術中の管理を行います。
生体モニター
インプラント手術中は、生体モニターにて、血圧、SPO2、脈拍等の全身管理をしています。
完全な滅菌技術・院内空気の清掃・確実な術後のメンテナンス
院内感染を防止するため、滅菌を徹底して行っております。院内の空気は、空気清浄システムにより、快適で安心できる清浄な空気環境となっております。術後の快適な生活の為に確実な術後のメンテナンスを行います。歯は一生を共にする宝物です。
CTにより安全・的確な治療
当院ではより安全な治療を提供できるようCTによるデータ採取を行っております。歯茎の奥にある神経や血管・骨の状態は通常のレントゲン撮影では立体的に見ることができませんが、CTでは、それらの情報を立体的に判断することができます。
CT画像を解析することにより、血管や神経の位置、インプラントの最適な長さ、埋入角度、深さを把握することができるため、より安全で確実なインプラント治療が可能となります。
インプラントの治療の流れ
Step1初診相談
インプラントをご希望の患者様に対し、詳しい治療内容やメリットとデメリット、患者様の症例に応じた治療法のご提案などを行います。患者様の疑問点などに可能な限り詳細にお答えします。
Step2精密検査
インプラント治療への適合性を検査する為、高解像度のデジタルレントゲン・CT検査で精密に口腔内を検査します。歯並び骨の密度や量の状態を調べ、歯型を取りかみ合わせの状態も検査し、インプラントの適合性を判断します。
Step3インプラント1次手術
インプラントを顎の骨に差し込む為に、歯茎を切開してインプラントと同じ大きさの穴(人工歯根)を骨に作り、骨の穴にインプラント(土台となる純チタンボルト)を差し込み固定します。切開した歯茎の抜糸治癒とインプラントと骨が結合するまで数か月待ちます。
Step4インプラント2次手術
1次手術の終了後、3~6か月の期間をあけて、インプラント体と骨の結合が確認できた段階で二次手術を行います。二次手術では、アバットメント(インプラント体と人工の歯を接続させる部品)の取付を行います。そのため少し歯茎を切開し、埋め込んだインプラント体の頭を出す処置を行いますが、全体的に1次手術ほど大がかりな処置は行いません。
Step5型取り・仮歯作成
お口の中の型を取り、仮歯を作成します。仕上がった仮歯を調整・装着し、歯茎の治癒を待ちます。その間に装着している仮歯で上部構造の人工歯の形やかみ合わせの具合などを調整していきます。
Step6人工歯装着
歯茎が治癒し、仮歯で形やかみ合わせの確認ができたら上部構造の人工歯をつくるための型取りを行います。人工歯が仕上がり、お口の中で微調整したのちインプラント体に装着したアバットメントに人工歯を装着します。
Step7メインテナンス
インプラントのお掃除は、非常に大切です。歯磨きが十分にできずインプラントの周りに歯垢がついた状態にしていると、天然の歯と同様に歯槽膿漏の状態になり、インプラントの周辺の骨が痩せてしまいインプラントが不安定になり、最悪の場合にはインプラント体が抜けてしまいます。インプラントを長持ちさせるためには、毎日の歯磨きが重要です。
基本的には、通常の清掃器具でかなりのお掃除は可能ですが、インプラントの形状によっては、補助清掃器具が必要な場合もあります。各患者様のお口の中の状態ごとに違いがありますので、治療後にきちんとしたお手入れの方法や歯磨き方法の説明をさせて頂きます。
また、インプラントを半永久的に御利用頂く為、きちんとした歯磨き方法の指導や検査を、3ヶ月に1度行う事が大切です。
IPメインテナンスについて
上記で述べたとおり、インプラントは「入れて終わり」の処置ではありません。必ず手間をかけたお手入れが必要になってまいります。当院では、インプラントを入れたお口の状態に特に考慮した「IPメインテナンス」をお勧めしています。セルフケアに関してはインプラントを入れた方向けの器具・道具の使用をご説明したり、プロフェッショナルケアではインプラントを埋めた部位を徹底的にクリーニングするメニューを取り入れております。
インプラント治療の副作用やリスク、デメリット
- インプラント治療は健康保険が効きませんので自費診療となります。
- インプラントは外科手術を伴います。
- 麻酔を行う場合、腫れやむくみを生じる事があります。
- 上部の被せ物や土台が外れたり、欠けたり、緩んだりする事があります。
- インプラント手術後は反応性の出血、腫れ、あざがでる場合がありますが時間経過とともに治ります。
- 喫煙、糖尿病、加齢、清掃不良などに伴いインプラント周囲の骨に炎症が起こり、再治療が必要になる場合があります。
インプラントの治療期間について
インプラント治療の期間は、最後の歯が被さるまで、通常3~6ヶ月です。手術を行うまでのレントゲンや検査、クリーニングが、1週間程度です。次にインプラント手術を行ない、1週間後に糸を取り、約1ヶ月後、レーザー治療にて血流を良くし、骨がインプラントの周りに早くできるようにします。
骨の状態が良ければ、オペ後2ヶ月後に型を取り、約2週間後に最終的な被せ物が入りますので、早くて3ヶ月です。
インプラント治療の痛みについて
痛みにつきましては、必ず患者様からお声をお聞きしておりますが、痛くないとのお言葉を頂いております。また治療後もあまり痛くなかったとのお声も頂いております。
まれに痛みが出た方でも、2~3日で快方に向かいますのでご安心ください。
無痛麻酔や笑気吸入法も行いますので、リラックスして治療を受けて頂けます。
レントゲン写真で見る治療の経過
Aさんの経過
左下の奥歯が欠損している患者様
Bさんの経過
左上の奥歯が欠損している患者様
Cさんの経過
【再生療法】顎の骨が薄い方・骨造成法
インプラントをするには骨が足らず、あきらめていた方は是非当院にご相談ください。骨が少ない方でも、骨造成の処置をすることにより、インプラント治療ができる場合もあります。骨造成の方法は、部位によりサイナスリフト、GBR法、ソケットリフトなどがあります。骨造成の手術は、症例によりインプラントと同時に行う場合もあります。当クリニックでは、GBR法、ソケットリフトを行っております。
GBR法(骨再生誘導法)
骨の厚さが足りない場合に行います。骨が不足している部分に、自家骨または骨補填材を置いて、その上をメンブレンという膜で覆います。4~6ヶ月(個人差があります)で歯槽骨が再生され、インプラントが埋入できるようになります。
- 抜歯した穴が大きい場合、このままではインプラントを入れることが難しい状態です。
-
骨を再生させるために、穴の中に骨補填材を入れます。骨補填材は、自家骨または、人工骨を使用します。
-
その上をメンブレンという保護膜で覆い、歯肉を縫います。(※メンブレンを使用しない場合もあります。)
-
2~6ヶ月(個人差があります)後、骨が再生されたらインプラントを埋入することができます。状況によっては、インプラント埋入と同時に行うこともあります。
ソケットリフト
ソケットリフト法とは、上顎の骨の再生手術の一つです。インプラントを埋め込む箇所の上顎骨の厚みが5mmに満たない場合にソケットリフト法を用います。ソケットリフト法は、専用の器具で上顎洞底部を持ち上げ、出来た隙間にボーングラフト(自家骨や骨補填剤などで骨移植)を行い、不足した骨を補います。十分な骨量になったらインプラント埋入します。
-
上顎骨が薄い部分を専用の器具(オステオトーム)であけて上顎洞と歯槽骨の間にあるシュナイダー膜を持ち上げます。
-
持ち上げた隙間にインプラント埋入を可能にすべく骨量を増やすためボーングラフトを行います。
-
インプラント埋入に十分な骨量に至るまでボーングラフトが行われたらインプラントの埋入をします。
このように顎の骨が薄い方でも対応できるようになりました。